ドケルバン病(腱鞘炎)

  • 親指を広げると痛みが出る。
  • 物を持った時に痛みが出る。
  • スマホの操作で痛みが出てくる。
  • 親指側の手首あたりに腫れがある。
  • キーボード操作で痛みが出てくる。

ドケルバン病とは?

ドケルバン病は、手の甲側にある親指を動かす筋肉、具体的には長母指外転筋と短母指伸筋、およびそれらの筋肉を覆う腱鞘が炎症を起こす狭窄性腱鞘炎の一種です。

この疾患は、主に以下の3つの部位に関連しています。

  1. 短母指伸筋腱:母指を伸ばす役割を担う腱。
  2. 長母指外転筋腱:母指を外側に広げる役割を担う腱。
  3. 腱鞘:橈骨茎状突起と呼ばれる部位と伸筋支帯で構成され、1と2の腱が通るトンネルのような構造です。

使い過ぎや不適切な動作などにより、これらの腱が炎症を起こし、太く腫れてしまいます。

その結果、腱と腱鞘が摩擦し合うことになり、手の親指周りに痛みが生じるのが特徴です。

 

ドケルバン病の原因と症状

ドケルバン病は、特定のリスク要因にさらされた人々によく見られる手首と親指周りの痛みの疾患です。

この病気は特に以下の人々に発生しやすいとされています。

  1. 手の親指や手首を酷使する人: スマートフォンの片手操作、パソコンのキーボード操作、テニスやゴルフなど手首を多用するスポーツ、楽器演奏(例: ピアノ)、料理人や美容師、大工など、手を頻繁に使う仕事や活動を行う人々によく見られます。
  2. 出産直後の女性(20代から30代): 妊娠・出産期の女性はプロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンが低下し、腱に炎症が起きやすい環境になります。
  3. 更年期の女性(50代から60代): 更年期の女性はエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが低下し、同様に腱に炎症が起きやすくなります。

これらの人々は、親指や手首を使い過ぎることによって、長母指外転筋と短母指伸筋といった筋肉、およびそれらを覆う腱鞘に炎症が広がり、腫れや痛みが生じる傾向があります。

症状としては、腱鞘部分での痛みや腫れ、熱感などが主な特徴です。

親指や手首を動かす際に強い痛みを感じ、症状が進行すると力が入りにくくなることもあります。

 

セルフチェック

ドケルバン病のセルフチェック方法は、自己評価と早期発見に役立つものですが、強い痛みやしびれが生じる場合はすぐに中止し、医療専門家に相談することが大切です。以下に、セルフチェックの2つの方法を説明します。

 

  • フィンケルシュタインテスト

手を出し、親指を内側に倒す

親指を反対の手で掴み、小指の方へ引っ張る

※引っ張ることで痛みが増すようであれば、「ドケルバン病」の可能性が高いです

②フィンケルシュタインテスト変形

※先ほどのフィンケルシュタインテストの片手バージョン

・親指を内側に入れ、グー(握り拳)をつくる

・そのままの形のまま、小指側に倒していく

※倒したときに痛みが増していくのであればドケルバン病の可能性が高い

当院でのドケルバン病の施術方法

ドケルバン病は、親指や手首の過度の使用によって引き起こされる腱鞘炎の一種です。

この疾患の治療において、適切な炎症管理が非常に重要です。

なぜなら、炎症がコントロールできない場合、痛みや機能障害が悪化する可能性が高いからです。

以下は、ドケルバン病の治療と炎症管理に役立つポイントです

  1. 安静: 患部を安静に保つことが不可欠です。炎症が存在する期間中は、手や親指の過度な使用を避けることが重要です。特に強い痛みがある場合は、手首を固定するサポートを検討することがあります。
  2. アイシング: 炎症を軽減するためのアイシングは有効です。アイシングは炎症箇所を冷やし、腫れや熱感を軽減し、痛みを和らげるのに役立ちます。アイスパックや氷を布で包んで、炎症がある部位に数回の短い間隔で適用します。
  3. 物理療法: テーピングやサポート装具を使用して、炎症箇所をサポートします。これは手首や親指への負担を軽減し、回復プロセスを支援します。

治療計画は症状や個別の病態に合わせて調整されるべきです。

ドケルバン病の症状がある場合、適切な医療専門家と協力し、専門的な評価と治療を受けることが不可欠です。

 

ハイボルト

ハイボルト施術は、痛みや炎症の管理に使用される最新の治療法で、プロスポーツ選手にも広く利用されています。

この施術では、微弱電流、通常はマイクロカレントとして知られる非常に弱い電流を患部に導入します。

この微弱電流は、体内の細胞を刺激し、自己治癒力を活性化させる効果があります。

ハイボルト施術の主な利点は次のとおりです

  1. 痛みの抑制: 微弱電流は神経を刺激し、痛み信号の伝達をブロックまたは減少させる可能性があります。これにより、痛みが軽減されます。
  2. 炎症の早期改善: ハイボルト施術は体内の血流を増加させ、炎症部位に酸素や栄養素を供給する助けになります。これにより、炎症が早期に収まる可能性があります。
  3. 微弱な刺激: この治療は非常に弱い電流を使用するため、通常は電気の刺激をほとんど感じません。これは患者にとって快適な治療環境を提供します。
  4. 自己治癒力の活性化: 微弱電流は体内の細胞を刺激し、組織の修復と再生を促進します。これにより、怪我や損傷の回復が支援されます。

ハイボルト施術は、特にスポーツ選手や怪我を抱える個人にとって、迅速な痛みの軽減と怪我の回復を促進するための効果的な治療法として注目されています。

ただし、適切な評価と指導のもとで行うことが重要であり、医療専門家の指導を受けながら受けることをお勧めします。

 

テーピング

ドケルバン病は使い過ぎによって患部の腱鞘が炎症を起こし、痛みが悪化する可能性があります。

痛みが一時的に治まっても、同じように使い続けることで再び炎症が発生しやすくなり、症状が再発することがあります。

このため、テーピングなどの方法が役立ちます。

テーピングは次のような役割を果たします

  1. 筋肉の動きを抑制: テーピングは患部周辺の筋肉や腱鞘の動きを制限することで、痛みを軽減します。これにより、痛みの原因となる摩擦や過度なストレスを軽減する助けになります。
  2. 負担を軽減: テーピングは患部に軽減装置を提供し、普段の活動時にかかる負担を減少させます。これにより、痛みが悪化しにくくなります。
  3. 再発予防: テーピングは再発を防ぐ役割も果たします。炎症が収まった後も、テーピングを継続することで患部に負担がかかりにくくなり、再発のリスクを低減します。